離婚手続
目次
協議離婚
夫婦が話し合い、離婚の諸条件について折り合いがついた場合には、離婚届にそれぞれ署名・押印し、成人の証人2名が署名・押印の上、役所に離婚届を提出すれば、協議離婚が成立します。
夫婦が互いに離婚や財産分与に納得して離婚届を提出する場合には、法律に定められた離婚原因がなくても離婚できます。未成年のお子さんがいる場合には、父又は母のどちらかを親権者として定める必要があります。
財産分与、慰謝料、養育費、年金分割等の離婚に伴う条件は、離婚と同時に決めるのが一般的ですが、離婚後に定めることも可能です。財産分与と年金分割は離婚から2年、慰謝料は通常離婚から3年という期間制限がありますので、注意が必要です。
離婚の条件として、金銭を支払ってもらう約束をする場合には、相手方が後で約束を破った場合に強制執行できるように、公証役場で公正証書を作成することをお勧めします。強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することで、相手方が約束を破った場合に、裁判手続を経ずに強制執行することができます。
調停離婚
当事者同士の話し合いで離婚や離婚の諸条件について合意できない場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を起こすことができます。
調停では男女2名の調停委員とともに、離婚や、親権、面会交流、財産分与、養育費等について話し合いが行われます。裁判官は、多くの事案を同時に抱えているため、調停期日に毎回同席することはしませんが、手続進行に必要な場合や、裁判官の助言が必要な場合には、調停期日に同席し、法的見解を述べることがあります。
日本の裁判所は、調停前置主義(家事法257条1項)を採用していますので、初めから離婚裁判を起こすことはできず、まず調停で話し合うことが必要になります。ただし、相手方が行方不明等により調停を提起しても話し合いが望めない場合には、調停手続を経ることなく直ちに離婚裁判を起こすこともできます。
調停離婚も裁判所を通じて話し合いをする手続ですので、法律に定められた離婚原因がなくても、当事者が合意すれば離婚できます。
弁護士に依頼している場合には、弁護士が調停期日に同席し、必要な書面の作成提出を行います。
審判離婚
家庭裁判所に調停を申したてたが、調停で解決できない場合には、調停は不成立になり、離婚裁判を提起するか検討することになります。まれに裁判ではなく、審判が相当であるケースでは、「調停に代わる審判」(家事法284条1項)で離婚が成立することがあります。
離婚自体には合意できているが、親権者、養育費、財産分与等の付随的な条件について合意できておらず、当事者が裁判所の判断には従う意思がある場合等には、裁判所が調停手続で提出された書面や、事情等を総合考慮し審判を行います。
審判に対して2週間以内に異議の申し立てがなければ、その審判は確定し、判決と同一効力が生じます(家事法287条)。一方、審判の告知から2週間以内に異議の申し立てがあると、審判は効力を失うため、離婚裁判をするか検討することになります。
裁判離婚
調停で離婚に合意できなかった場合には、調停は不成立になり、離婚裁判を起こすことが可能です。離婚裁判では、民法770条の離婚原因があるか審理され、裁判官が最終的に離婚を認めるか判断を下すことになります。
裁判所で離婚が認められなかった場合、別居期間を数年置いた上で再度離婚裁判を提起するケースもあります。この場合には再度調停からやり直す必要がある場合が多いため、詳しくは弁護士にお尋ねください。