親権者変更について
離婚後の親権者の変更
離婚する際、18歳以下の未成年のお子さんがいる場合には、両親のいずれかを必ず親権者と決めなくてはいけません。離婚する時に配偶者に子どもの親権を絶対に譲らないと主張されたため、泣く泣く親権を手放したという方が少なくないかもしれません。
当時の状況からすれば、やむを得なかったかもしれませんが、残念ながら、一度決めた親権を変更することは、容易ではありません。
以下、どのような場合に離婚後の親権者の変更が認められるか、解説いたします。
離婚後、親権者が親権の行使ができなくなったとき。
離婚後に親権者が死亡した場合には、親権の行使ができなくなるため、未成年者を監護するため親権者の変更や未成年後見人が選任されることがあります。
親権者が死亡した場合、他の一方の親が自動的に親権者になるのではなく、家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立てる必要があります。親権者変更の審判が確定した後に、審判の確定証明書を添付して役所で親権者変更の手続を行うことで、親権者の変更ができます。
離婚後に親権者が死亡した場合でなくても、行方不明になった場合、病気や怪我により子どもを監護することができなくなった時も親権者の変更が認められる場合があります。
子どもの利益のために必要あると認められるとき
親権者の変更は、子ども利益に大きくかかわる事項ですので、たとえ両親の合意があったとしても、家庭裁判所の調停又は審判を経なければ親権者の変更ができません。
親権者の変更基準については、「子の利益のため必要があると認められるとき」(民法819条6項)と定められており、様々な事情を考慮して裁判書の裁量によりどちらの親が親権者としてふさわしいか定めます。
具体的には、親権の変更を希望する理由、現在の親権者の意向、これまでの養育状況、これまでの養育費の支払状況、今後の養育環境、未成年者の意向等を考慮し、家庭裁判所の調査官の調査等を経て慎重に判断されます。
一度決めた親権者は、容易に変更できるわけではありませんので、単に現在の親権者の教育方針や養育環境に不満を感じるだけでは親権者変更は認められません。
離婚後に未成年者と一定期間一緒に暮らしている実績があり、今後の教育環境・養育環境が安定していて、未成年者も親権者の変更を望んでいる場合等には、親権者の変更が認められることがあります。親権者の変更が認められた場合には、相手方に対し、養育費の請求ができます。
親権者変更は簡単な手続ではありませんが、お子さんが安心して暮らすために、親権者は大切な役割を担いますので、親権者変更の手続を行う予定の方はご相談ください。
※事案の性質上、親権者の変更が難しいと判断される場合には、ご相談やご依頼をお受けできない場合があります。詳しくは予約ページからお問合せください。